問題
胎児に対する不法行為に基づく当該胎児の損害賠償請求権については、胎児は既に生まれたものとみなされるので、胎児の母は、胎児の出生前に胎児を代理して不法行為の加害者に対して損害賠償をすることができるか?
解答
できない。
胎児は損害賠償の請求権については、既に生まれたものとみなされる。(721条)もっとも、胎児は胎児のままでは権利能力を持たず、生きて生まれれば、不法行為の時点にさかのぼって権利能力を取得すると解される。(停止条件説/大判昭7.10.6)
胎児中には法定代理人は存在しえないから(胎児には権利能力がないということなので代理人のした行為の帰属先がない)胎児の母は、胎児の出生前に胎児を代理して不法行為の加害者に対して損害賠償請求することができない。